S&P500の暴落は何年で回復した?過去の最大下落と回復期間
S&P500には配当込みで約5割下がった暴落も、元の水準に戻るまで6年以上かかった暴落もあります。暴落ごとの下落率と回復までの月数、全世界株などとの違い、毎月積み立てていた場合に元本へ戻るまでの早さを過去データで示します。
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S&P500には配当込みで約5割下がった暴落も、元の水準に戻るまで6年以上かかった暴落もあります。暴落ごとの下落率と回復までの月数、全世界株などとの違い、毎月積み立てていた場合に元本へ戻るまでの早さを過去データで示します。
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S&P500の1993年以降の下落率は、米ドル建てで配当を再投資しても最大で-51%に達し、元の高値に戻るまでに最長で75か月かかりました。ただし、下落の間も毎月同じ額を積み立てていた人は、入れたお金の合計(元本)をずっと早く取り戻しています。高値の月から積立を始めていた場合、リーマンショックでは35か月で元本に戻り、一括で持っていた人が高値に戻った53か月より早く抜け出しています。どちらも過去の実績で、次の暴落が同じ深さや長さで済むことを保証するものではありません。
ここでの下落率は、それまでの最高値から最も下がったときに何%下にいたかを表します。この下がり幅をドローダウンといいます。S&P500の代わりにSPY(S&P500に連動するETF)の月末の値を使い、配当はすべて再投資したものとして計算しています。
| 暴落 | 下落率 | 高値から底まで | 底から高値まで | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| ITバブル崩壊(2000〜2002年) | -45% | 25か月 | 50か月 | 75か月 |
| リーマンショック(2007〜2009年) | -51% | 16か月 | 37か月 | 53か月 |
| コロナショック(2020年) | -19% | 3か月 | 4か月 | 7か月 |
| 2022年の利上げ局面 | -24% | 9か月 | 15か月 | 24か月 |
どの暴落でも、底を打ってから元に戻るまでのほうが、下がっていく期間より長くかかりました。リーマンショックでは16か月で約半分まで下がり、そこから37か月かけて戻りました。100万円が半分ほどになり、元の100万円に戻るまで合計で53か月かかった、ということです。下落が深いほど、元に戻るのに必要な上昇は大きくなります。半分になった資産は、2倍に増えてようやく元の額です。ただし回復の期間は深さだけでは決まりません。ITバブル崩壊はリーマンショックより浅かったのに、高値に戻るまでは長くかかりました。下がっていく期間が長かったうえ、底を打ったあとの上がり方もゆるやかだったからです。
一方、コロナショックは下落も回復も数か月で終わりました。暴落の長さは回ごとに大きく違い、始まった時点ではどちらになるか分かりません。
ここまでの数字は、すべて米ドル建てです。円など自分の国の通貨で見ると、株価の動きに為替の動きが重なるため、下落は深くなることも浅くなることもあり、高値に戻るまでの期間も変わります。指数データのS&P500のページで通貨を切り替えると、自分の通貨で見たドローダウンの推移をグラフで確認できます。
同じ時期の暴落でも、指数によって深さと長さは違います。
暴落ごとの下落の期間と回復の期間(配当込み、米ドル建て)
高値から底まで底から高値まで
同じS&P500でも、表の4つの暴落のどれを見るかで「回復までの期間」の答えは7か月から75か月まで変わります。過去の最悪の例は、自分の資産が同じ目にあったら持ち続けられるかを考える材料として見るのが向いています。
ここまでの回復期間は、高値の月末にまとめて買い、そのまま持っていた場合の数字です。毎月同じ額を積み立てていた人の経験は違います。下落の間も買い続けた分が、回復の局面で増えるからです。
S&P500に毎月同じ額を入れ続けた場合に、残高が元本を最も大きく下回ったときの割合と、高値の月から数えて元本に戻るまでの月数を比べます(米ドル建て)。元本に一度戻ってもまた下回ることがあるため、その下落の間に元本を下回らなくなった月で数えています。
| 暴落 | 積立の開始 | 元本からの最大の下落 | 元本に戻るまで | 参考:一括で高値に戻るまで |
|---|---|---|---|---|
| ITバブル崩壊 | 高値の月から | -28% | 38か月 | 75か月 |
| ITバブル崩壊 | 高値の5年前から | -12% | 32か月 | 75か月 |
| リーマンショック | 高値の月から | -35% | 35か月 | 53か月 |
| リーマンショック | 高値の10年前から | -30% | 23か月 | 53か月 |
高値の月に積立を始めた人は、一括で持っていた人が高値に戻るより、ずっと早く元本に戻りました。最初に入れた分は大きく下がりますが、底に向かう途中や底の近くで入れた分が回復のときに大きく増え、全体を押し上げるからです。何年も前から積み立てていた人も、元本への戻りは一括より早くなっています。また、コロナショックと2022年の下落では、高値の5年前から積み立てていた人の残高は、この下落の間、一度も元本を下回りませんでした。それまでの上昇で積み上がった利益が、下落を吸収したためです。
ただし、「元本に戻る」と「前の最高残高に戻る」は違います。ここで測っているのは入れたお金の合計に戻るまでで、暴落の前に積み上がっていた利益を取り戻すまでではありません。長く積み立てて残高が大きくなっているほど、毎月の積立額が残高に占める割合は小さくなり、残高の動きは一括で持っている場合に近づきます。また、一度元本に戻っても、次の暴落でまた下回ることがあります。ITバブル崩壊の高値の月から始めた積立は、リーマンショックで再び元本を下回りました。
積立が暴落の痛みを和らげるのは、下がった価格で買い続けられるからです。それでも、同じお金を最初に一括で入れた場合と比べて、積立のほうが最終的に多く残るとは限りません。その比較は「一括投資と積立はどっちが有利?」で、保有期間ごとのリターンの幅とあわせて扱っています。
将来ありうる下落の幅を見るには、積立のモンテカルロシミュレーターが使えます。過去のデータから作ったモデルで1,000通りの未来を作り、それぞれの期間中の積立残高の最大ドローダウンと、一定以上の下落が起きる確率を示します。モデルの荒れ局面(相場が荒れて値動きが大きくなる時期)は平均3.4か月で終わるため、ITバブル崩壊のように何年も続く下落は過去の歴史より少なく出やすい点には注意が必要です。シミュレーションの仕組みは「積立のモンテカルロシミュレーションとは」で、株と債券を組み合わせたときの下落の深さは「暴落時に分散投資は効くのか」で説明しています。